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現在の家造り-最重要- [お仕事]

 大工道具とは、こんなモノを指すのです。 Netで「大工道具」と検索すると、   電動工具でした。

 

かつて職人の世界は『伝承』で成り立っていました。

今日は職人の代表選手として、家造りには最も重要な『大工』を見ていきます。

 

伝承とは『親方が弟子に技術を教える』ことで、技術を持っている者が、その技

術を後進に教え、伝えて行くことを指します。

 

きちんと親方について正しい技術を学び、現在も正しいやり方で建築業界に身

を置いている大工は、恐らく、1割に満たないであろうことは確かです。

もし、いたとしても、既に50代後半になっていることは間違いない。

若い大工は「正しい工事を知らないで育っている」のです。

 

正しい工事を知る大工は、拙者が知る限りにおいて、その殆どが弟子を抱えて

はいない。。。つまり、既に伝承が崩れてしまっているのです。


職人の世界には、次から次に仕事が降って、湧いてくるような時代・・・『高度成

長期に続くバブル期』が長く続きました。


このような時代に、『丁寧ないい仕事』を心がけていた職人はいつまで経っても

貧乏で、『お金儲けを目的』として働いていた職人だけが『いい思い』をしたので

す。

 

職人達は『職人として恥ずかしくない仕事』よりも『少しでも手取りが多

く、早くて簡単に稼げる仕事』に飛びついたのです。


親方は弟子を育てることを忘れ、弟子はろくな仕事もできないうちから、単なる

ピンハネの道具としての『戦力又は労働力』として扱われてきました。

 

それまでに、きちんと親方について正しい技術を見に付けた大工も、「忙しいか

ら、つい手を抜いて・・・」それを見て覚えた若い人は「それを、正しい仕事のや

り方だと勘違いをして」・・・『正しい仕事の伝承』が成り立たなくなってしまったの

です。


現在の家に使われる、偽物の建築材料は、反りや曲がりを気にして吟味して

使う必要はありません。

だから、大工の仕事は、『あてがいぶちの材料を取り付けるだけ』の仕事になり

ました。


本物の大工とは『木の性質』を知り、『使う場所を考え』て『材料を吟味』して『正

しく使える』人を指すのです。

しかし、今の大工の殆どは、そんなことには目もくれず、単なる『取り付け屋』で

あり、『アッセンブリー屋』となってしまって,木の性質などは、知ろうともしませ

ん。

 

アッセンブリー屋には、いかなる技術も長年の修行も必要ではありません。

 

今、家造りに関しては『自然素材の良さ』が叫ばれ、『木の良さ』が唱われてい

ます。

本当の大工は、材料としての『木』を見ただけで、「どんな山の」・「どんな方角を

向いて生えていた」・「なんという名の木の」・「どの部分なのか?」が判ります。

だから、手にした木によって、使う場所も考えて使うのです。

正しい工事を知らない大工が造る、『自然素材の家』・・・恐ろしい限りです。

 

もっと言うなら、自分で使う『鋸の目立てもできず』『鑿(のみ)も研げず』『使うの

は電動工具だけで、げんのう(金槌)さえも正しく振るえない』大工が、どうしたら

『自然素材を相手に』家造りができるでしょうか?

どうしたら『正しい家の作り方』を弟子に教えていくことができるでしょうか?

 

 

【現在はこのような『職人』が家を建てている】ことはあまり知られてはおりま

ん。

だからこそ、拙者はくどくどと説くのです。

 

建築には【監理】と【管理】があり、これこそが、現代の家造りにおいては何をお

いても欠くことができない【最も重要】な事なのだと。

何人もが『手分けをして見張っていないと、決していい家はできない』のだと言

っているのです。。。

 

あなたがもし、『いい家』を建てたいと考えたら、しっかり『監理』してくれること

を、契約の条件にして『設計は専業の建築士』に依頼しなさい。

監理ができない建築士なら、別の建築士に『監理だけを』依頼しなさい。


建築には工事(施工)がつきものです。

施工はしっかり勉強をした『現場監督』が常に現場を見張ってくれる、(常駐す

る)『地元の工務店』に依頼しなさい。

 

現場監督の善し悪しは、『あなたとの相性』ではありません。

あなたの疑問に『どれだけ的確に答えてくれるか?』『どれだけの勉強をしてい

るか?』に尽きます。

 

「あの監督さんはいい人だから・・・」では必ずや失敗が待っているでしょう。

 

設計は監理をしてくれる建築事務所に依頼し、しっかりした現場監督がいる地

元の工務店に頼んだ・・・これでもまだ十分ではありません。

 

拙者は常に、あなたが建てる家の新築現場には、足繁く通って『徹底的に写真

を撮りまくりなさい』と言っています。

解らなくてもいいのです。とにかく、工事の全てを写真に納めなさい。

 

特に仕上げで見えなくなってしまう部分の写真は、万一のトラブルの際には、何

ものにも代え難い、有力な『証拠』として採用されるかも知れないのです。

現代の家造りは、それほど気を遣わなければ、決して「いい家」はできないので

す。


家を造るには、大まかに言って3つの方法があります。

1.設計も施工も一括してハウスメーカーに依頼する。

2.設計も施工も、一括して地元の工務店に依頼する。

3.設計は専業の建築士に、施工は地元の工務店に依頼する。

あなたはどの方法を選びますか?


ここに一つ、いい指針があります。

 

国が勧める『いい家造りの法則』・・・その第1は【設計と施工を分離しなさい】と

言っているのです。

 

『いい家を造る』・・・今の時代に家を造る方は、安易に住宅展示場に出向いて

決めるのではなく、もう一度根本から考え直す必要がありそうです。

 


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コメント 14

kiyo

akira様
先日は夫婦二人お世話になりました。
大変楽しい時間を過ごさせていただきました。
ありがとうございます。

とても参考になるお話ありがとうございます。
確かにそうですね。
名のあるハウスメーカー等が簡単に手抜き工事を
していたりしますし、おっしゃるとおり本物の大工さんも
めっきり数が減っていると思います。
そんな状況では、管理、監理が大事ですね。
私もその点気をつけたいと思います。
by kiyo (2006-10-11 17:50) 

cuvesx

誤魔化し方だけが上手に・・
by cuvesx (2006-10-11 18:00) 

あさぎいろ

私も技術者の端くれですので、職人としての心構えが肝に沁みます。
by あさぎいろ (2006-10-11 21:39) 

オサルノカゴヤ

体を使うことと頭を使うこと。
このバランスが崩れてきている気がします。
大工に限らず、どんなシーンにおいても。
もっと体を使って覚えることを増やした方がいい気がするんです。
by オサルノカゴヤ (2006-10-11 21:50) 

アキラ

kiyoさん
何か参考になりましたでしょうか?
今後とも、何なりとご相談下さい。
コメントをありがとうございました。
by アキラ (2006-10-12 11:01) 

アキラ

Honuさん
仰る通りだろうと思います。
私は手刻みができる大工しか使いませんので、こんな事が書けるのです。
ナイスををいつもありがとうございます。
by アキラ (2006-10-12 11:05) 

アキラ

アサギいろ さん
早速のご訪問、恐縮です。
建築関係でいらっしゃるのでしょうか?
日々感じた事などを書き連ね、時々建築に付いて書いています。
よろしければ、是非またお立ち寄り下さい。
ナイスをありがとうございます。
by アキラ (2006-10-12 11:09) 

アキラ

オサルノカゴヤさん
早速のご訪問、ありがとうございます。
手に職を付ければ、食いっぱぐれない・・・昔はこのように言ってものです。
しかし、現在は『手に正しい職』をつけた人が食いっぱぐれる時代になりました。
お金万能の世の中・・・間違っていると思うのですが。。。
今後ともどうぞよろしくお願い致します。
by アキラ (2006-10-12 11:16) 

アキラ

ラムねーさん
ナイスをありがとうございます。
記事を見ていてくださって、感謝です。
by アキラ (2006-10-12 11:18) 

かな

職人さんがいない、数少ない職人さんの継承者がいない。
本当にこのままだと、よいものや優れた技術が、消えてしまうのかもしれませんね。。。
木造の自然素材の家、展示場で見ました。
昔ながらの大工さんが作っていると営業さんが言っていましたが、本当かしら・・・
天井の雨染み、台風のメンテナンスと一緒にしてもらおうかと思っています。
by かな (2006-10-12 12:27) 

TOMO

大工さんの「腕」も
判断が難しいですね。
技術&知識検定とかで1級、2級みたいのがあれば
まだわかりやすいのかな?
でもサボるかどうかは別のことだろうし。
by TOMO (2006-10-12 15:54) 

アキラ

かなさん
伝承の世界はそのうちに全て壊滅します。
昔ながらの大工さんは、『腕が落ちる』(技術が下手になる)と言って、ハウスメーカーの仕事はしないものです。少なくとも、私が知る限りにおいては・・・
天井の雨染み・・・まさか屋根の塗装で、とは考えていませんよね?
いつもナイスをありがとうございます。
by アキラ (2006-10-12 17:22) 

アキラ

TOMOさん
ナイスをありがとうございます。
既に技術検定は行われています。
しかし、腕のある大工は、検定などバカにしていますねー。
by アキラ (2006-10-12 17:39) 

浜松自宅カフェ

>建築には【監理】と【管理】があり、・・・中略・・・【最も重要】な事

おっしゃる通りです。だけど、殆ど話題になることが無いですよね。。。
一つ言えることは、「設計」と「施工」の分離を「良い家の条件」と言い切れる
工務店は「良い工務店」だと言うことです。
by 浜松自宅カフェ (2006-10-22 00:43) 

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