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デザイナーズ住宅の落とし穴 [お仕事]

 大開口が売りの車はありますが・・・

 

最近流行の『デザイナーズ住宅』


数ある建築物の内、木造住宅の設計は簡単なようで最も難しいものであること

が解っていないデザイナーも居るのです。

今回は、ある方のご紹介で新進のデザイナー氏と会ってきた。


30数坪の平屋の新築工事。

これから2週間で見積書を提出し、検討を行い、来年早々に着工するのだとい

う。

 

『一寸ムリがあるなー!』と思ったが、タイムテーブルに乗っていると言われて、

『やるしかないか?』

 

この段階ではいつものことながら、『丁々発止』『喧々囂々』『侃々諤々』お互い

に意見を戦わせて摺り合わせを行う。

お互いに譲らず、険悪な雰囲気になることもしばしば・・・

しかし、それもこれも、お互いに『いい家』を作りたいと考えているからこそ。


しかし、今回の若いデザイナーは少し違っていた。

建築基準法始め民法や関連法規を完璧に無視した設計図を渡されて、「見積

もってください」

「疑問点があれば、質疑してください」と言われたが、簡単に図面を眺めただけ

で『指摘事項山積み』

 

ざっと図面を眺めただけで『この家・・・果たして何年保つだろうか?15年?・・・

20年?』

法規に沿うように、図面を手直しする事はできても、『家に付いての考え方』は

如何ともし難い。


 

相手は若いがデザイナー。

顔を立てて『機嫌を損なわないように、注意しながら』下手に出ながらじんわりと

『家、というものについて』話をさせてもらった。


話している途中でデザイナー氏の顔に変化が。

「なんだよ!こいつは!・・・・うざってーなー!」という表情がありあり。

拙者の話に、時折打つ相槌は「んー」

『・・・・聞いてない!』・・・砂を噛む想い。

 

さて・・・・・その夜遅くのメールで・・・「見積もりして戴かなくて結構です」

案の定、断ってきた。


折角ご紹介を戴きながら、仕事に結び付けられなかった反省点だけが残りまし

た。


『何も言わずに、保たない家をそのまま見積もるべきだったのか?』

いくら、どのように考えても、『その通りだろ?当たり前じゃないか』という答えは

出てきません。


平屋とはいえ、間に1本の柱もない7mの大開口の家・・・「まだしっかり精査し

ていませんが、恐らくLVLで500㎜~600㎜Hの梁になると思いますよ」

 

そう言う拙者に「LVL?・・・なんすか?それ!」

http://www.zenmoku.jp/moku_pr/QandA/ask4-3.html  

木造建築での大開口・・・LVLぐらい覚えとけ!っつうの!

 


最近はデザイナーズ住宅ばやり・・・家を建てる方に、同じ失敗をして戴かない

ために家づくり学院で、しっかり教えなくては。。。

『家』に付いては全くの素人が、『デザイナーとして仕事を請け負っている』今回

の事例を。。。

そして、建築基準法や民法その他の関連法規を完璧に無視した家を設計して

いることを・・・・

このデザイナー氏、聞けばこの仕事を契機として独立し、これが彼の初仕事な

んだそうだ。

 

建築主は確か49歳の大手商社マン・・・・何故見抜けない?

デザイナー氏が描いた、『家の外観』に惚れ込んで、任せきっているのだろう

か?

 

図面をよく見てみると、『外見だけがとっても奇抜な』今回のデザイナーズ住

宅。

 

出来上がって、住んでみたら・・・・『住みにくいだろうなー』


家づくりで大切なことは、『どんな形の家を手に入れるか?』ではなく『どんな生

活が出来る家を手に入れるか?』だと思うのですが・・・・

 

形が奇抜なだけで、他に問題が無ければ、拙者は何としても造ります。

しかし、この家・・・・『せいぜい、保って20年では・・・・』

『造る端から雨漏りするような家』では・・・拙者は造れません。


どこの建築屋が造るにしても『このままにして、いい訳はないのだが』という想

いだけが募ります。

 

デザイナーズ住宅・・・・家については全くのズブの素人でも、住宅デザイナーを

名乗っているのです。

落とし穴に嵌らないために、少し勉強しませんか?

 

今回担当する建築屋さんが、『うまく図面を書き換えて、了解を貰いながら』進

められる事を祈るばかりです。


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浜松自宅カフェ

アキラさんが仕事をとらなかったことに拍手を送りますよ。
いや、むしろ正解だと思います。
巻き込まれて大変なことになったと思うから。

しかし、頭に来ますね~!悲しいかないるんですよね、そんなデザイナーの
意味を履き違えている人。僕の身近にもいるので判ります。
LVLも知らないって・・・デザイナーとしても酷すぎますね。
さて、そのデザイナー氏はいつまで仕事あるでしょうか?
僕の経験上、数年後には市場から消えていると思いますよ。
施主さんが可愛そうですが、なぜ見抜けないのかな?
by 浜松自宅カフェ (2006-12-21 14:31) 

TOMO

ウチが扱うインテリアと家とでは
複雑さが違いすぎるので
私が言うのも変かもしれませんが、
ほとんどの工業デザイナーは
そのアイテムの基本から構造、
素材を知ったうえで新たなデザインをし
より楽しいアイテムへと変化させていきます。
ウチでもそのように完成度が高いものを
扱っているつもりです。
それよりも複雑である建築にこんな
ずさんなデザイナーがいることにショックです。
たんなる「デザインの押し売り」のような
気がしてなりません。
こんな人との仕事を受けなかったアキラさんが好きです。
by TOMO (2006-12-22 16:37) 

micchii

どんな図面だったのか、見てみたいです:笑
来年早々に無事着工できていればいいですが、
お施主さんにも、もうちょっとお勉強していただきたいですね。
by micchii (2006-12-23 17:11) 

あ、頭が痛い。と思って記事読ませていただきました。
見た目優先というのがデザイナーってことと当の本人も勘違いをしているのではないでしょうか。完成してお施主さんの心身を守ってなんぼではないでしょうか。住宅ほど真剣で血の気の通っている仕事はないと思い私も取り組んでいますが、意識がなさ過ぎる方々が多いのだと思います。すべての建物はその用途において考える視点を変えていかなければならないように思っていますが、よりによって一番身近な住宅でこんな問題が多数あるとは。コストとか様々な面で木造は非常に良い構造なのですが、なかなか勉強出来る機会がないのも現実。自分も大工さんから教えてもらったり、基本断面算定表などを見ながら設計図を書いています。
デザイナーの方もメールで見積もり依頼を断って来るようですから、基本的には対話力不足ではないでしょうか。
現場でもっと問題が発生することは目に見えていますから進行しなかったのは良かったのかもしれません。

これは建設業界の先輩へのお願いですが、若いモンをバンバンしごいてください。
by (2006-12-24 14:18) 

cuvesx

そんな仕事は改修の時に請けて莫大な金額を請求するのが正解だと思います!!!
by cuvesx (2006-12-25 16:27) 

たいせい

いかにもそこらじゅうで有りそうな話で怖いですね。
商店建築や、一階を駐車場にするケースが危険だと、先日耐震建築のセミナーでも聞きました。
構造については専門外でよく解りませんが、建築基準法はあくまでも最低限の基準で(これを守らなければ即時違法という意味での基準)、経年変化を経た状態や、地震時の保証ではない。こういう建築物には、細心の注意で設計しなければならないといった趣旨だったと思います。
検査が通ればそれで良いとの意識から、一連の耐震強度偽装さわぎが起こっていることもあり、建築に関わるものの良心と、建築を依頼する一般のお施主の知識と判断力が必要な時代になってしまって居るのを強く感じています。
(地域社会が壊れてしまい、顔と名前の一致する世界での建築が出来なくなってしまったことに依るものなのでしょうか?:地域で昔からやっている大工さんなら責任施工は当たり前)

家にとっては和瓦が一番良いにもかかわらず、コストで使われなくなってしまっているのと一脈通じるものを感じました。

PS.
個人的には来年は、『和瓦回帰』を掲げて頑張っていこうと思っています。
by たいせい (2006-12-25 17:13) 

justice-7

デザイン性に弱い、わたくしにはとても勉強になる記事でした!
建築には全く知識がないので、今後の参考にしたいと思います。
しかし、何故そのデザイナー氏はそんなに強気なんでしょうか?
by justice-7 (2006-12-26 19:07) 

plusgate

デザイナーっていうか、なんていうか・・・・
恐ろし過ぎてなんていうんでしょうか・・・
工務店さんからたまに、ほかの設計士の方の話を聞いたりしてびっくりすることはありますが、ちょっと考えられない話です。
LVLも知らずに7mも飛ばすとは・・・
その方、どこで勉強したんでしょうね。とにかく断って正解だと思います。
by plusgate (2006-12-28 15:09) 

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