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住宅新法の考え方(生き残り術) [湘南の家づくり]

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保険住宅は、第三者機関の検査をこんなに受けるんです。

しかし、供託住宅は、検査が全く免除・・・何だか変ですね!




前回からの続きです。

今日は、町の中小・零細工務店が、どうすれば生き残れるか?

生き残るための、一つの提案です。


ところで、瑕疵とは以下のようなことを言います。

瑕疵

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

瑕疵(かし)とは、ある物に対し一般的に備わっていて当然の機能が

備わっていないこと。

あるべき品質や性能が欠如していること。欠陥(厳密には、瑕疵≒欠陥であり、

瑕疵⊃欠陥の関係である。瑕疵は単なる不完全、欠陥は安全に係る不完全を指す)





『保険住宅』は零細・中小業者とお客様の双方にとって、一つだけ良いことがあります。

瑕疵が生じた場合、「保険住宅は、住宅紛争処理機関の支援」を受けられて、

弁護士などの専門家が力になってくれますが、

「供託住宅の場合には、住宅紛争処理機関の対象外」となり、支援を受けられません。

つまり、家を新築した個人が、大手ハウスメーカーや不動産業者との話し合いが

つかないときは、『裁判で決着を図るしかなくなる』のです。


この法律の施行で、「供託」が出来る大手のハウスメーカーや不動産業者は、

第三者機関の検査を免除され自主検査だけで済むことになって、

瑕疵がある住宅が蔓延する事になりそうです。

過去の経過を見てもそれは火を見るよりも明らかです。

大手企業は、「瑕疵だ」と騒ぐ消費者に対しては、今まで以上に積極的に

裁判に持ち込んで、事を有利に運ぼうとするでしょう。


ところで、「大手ハウスメーカーが建てる住宅には瑕疵はない」

と思っていませんか?

それこそ、飛んでもない勘違いで、現在でも裁判沙汰になっているケースが

最も多いのはハウスメーカーが建てた住宅なのです。

建築主側から訴えるのではなく、ハウスメーカーの方から裁判に持ち込まれる

ケースが殆どだと言われています。

大手企業には、瑕疵について専門的に勉強をした弁護士もついていることを

忘れてはいけません。




私はもっと高いと思いますが・・・

ハウスメーカーが建てる家は、私たち町場の工務店が建てる家よりも、

「3割以上高い」と石原都知事も公言しているように、実際建築金額は

遙かに高いのです。


最近では、町の工務店といえども「有名デザイナー」や「照明プランナー」を

動員して、デザインや住まい心地もハウスメーカーに勝るとも劣らない住宅を

造れる工務店も存在しています。

そのような工務店の金額でさえも、まだまだハウスメーカーには遠く及びません。



ハウスメーカーの自主検査任せでは瑕疵は防げません。

「ハウスメーカーとは無縁の建築士」を自ら雇って工事の監理をさせないと、

瑕疵のない住宅は建たない時代になりそうです。



そして、大手不動産業者が販売する「分譲住宅」は、如何にデザインが良くても

一躍、買ってはいけない住宅の「代表選手」に躍り出ることでしょう。

分譲住宅こそ、検査がないと「何をされているか判った代物ではない」からです。




こうして改めて考えてみると・・・

大手企業が建てたり、販売する新築住宅に何らかの瑕疵があったとしても、

結局『泣き寝入りせざるを得ない』ことになるのが、今回の新法だといえます。



しかし、『物は考えよう』です。

国土交通省は、私たち零細建築業者が生き残るために「粋な計らい」を

やってくれました。


それは『町場の零細・中小企業が生き残れる余地を残してくれたことです。



大手企業が選択するであろう「供託住宅」は『第三者機関が検査をしない』

だけではなく、『瑕疵が生じた場合には、大手企業と直接交渉して解決』

を図らなければならない「厄介な住宅」となるからです。


私たち町場の工務店は、これまでもこのような保険や供託があろうとなかろうと、

建てた住宅に何らかの問題が生じれば、すぐに駆けつけて対処するなど、

地域のお客様からの信頼を得てきています。


こんな下らないザル法のために、全国にはびこる『瑕疵住宅』を蔓延させては

ならないのです。


町場の中小・零細工務店は『第三者による3回もの検査』を「煩わしい」と思わずに、

逆手に取って利用したら如何でしょう。



そして、「保険料」の建築主への転嫁は逆効果となることを肝に銘じることも大事

です。


私たち町の中小・零細建築業者としては、

『いい意味での差別化を、声高に叫ぼうではありませんか?』



『他人の検査を3回も受けている、安全安心な住宅』であることを

強くアピールして、これからは、町場の工務店が建てる住宅の方が、

『大手が建てたり、販売したりする住宅よりも遙かに安価で優良』であることを・・・



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浜松自宅カフェ

超零細町場のカフェオーナーとしてはまったく同感です。
超零細だからこそできること、チェーン店が出来難いことがあります。
建築設計についても同じことだと考えています。

建売と注文の品質について、大工さんの立場になって考えればイメージ
しやすいと思うんです。
誰が住むかわからない「建売住宅」
仕上げてしまえばわからない「建売住宅」
一方、建て主の顔や生活、人柄を知っている大工さんによる「注文住宅」
浜自カフェに住んで、時間の経過と共に愛着が湧いてくるのは大工さんが
僕らのために愛情を持って作ってくれたことがわかるからです。
住んで(使って)みて始めてわかることって、とても深いんですよね!
by 浜松自宅カフェ (2008-05-20 20:36) 

たいせい

 信頼性は付加価値で、お施主様の認識の中に保険制度や建物の信頼性を「付加価値」として認識していただく方策のほうを、率先して政策化してほしかったと思っています。
 ここのところの政策運営は「お施主様のため」との美しい言葉を看板に掲げ、規制を先に作り上げる事によってのみしか政策の実現をすることができないとの認識で進められているように感じています。
 昨年の建築基準法の改正もそのような手法によって着手されたわけですが、お役所の窓口という身内の問題と当の建築関係者の実態を国土交通省はまったく認識していないという点を暴露してしまいました。
 お役人は、日本の建築をどうしたいのか?よくわかりません...。
by たいせい (2008-05-21 02:16) 

ijimari

まるで交通事故のようですね。
いいものを作ろう!という気持ちがある人と、
ない人がいるせいで、そういう事態となってしまった・・・
本来ならば、検査があるからという理由で、ちゃんと施工する
っていう考えがそもそもおかしいのに。
教育問題とも関わりがあるのでは・・・?
by ijimari (2008-05-21 11:31) 

plusgate

ハウスメーカー出身のいち建築士です(笑)
悪い部分と良い部分がそれぞれあると思っています。
早く建てたい人や、機能重視の人はプレハブが向いていると
思っています。それ以外の部分では良い所は見当たりません(笑)
実際、プレハブメーカーの監督の家を
何回か木造で設計したことがあります。
建ててる人が建てたくない家には誰も住みたがらないですよね。
超零細設計事務所としてはがんばり所です。



by plusgate (2008-05-21 20:12) 

アキラ

浜松自宅カフェさん

町場の良心的な工務店が建てた家と、ハウスメーカーが建てた家を比べてみると、建った直後はハウスメーカーの方がよく見えます。
しかし、10年経過で逆転します。
それ以降は、差が付くだけですね。

 

私たち、建築に関わる者が見ると、歴然と判るのですがね~。
by アキラ (2008-05-22 09:28) 

アキラ

たいせい さん

たいせいさんがお書きになろうとしていたこととは、違う観点から書かれていると思います。
日本という国のお役人は、自分の事しか考えないようです。
大手ハウスメーカーは、一つの「天下り先」でもありますしね。
まあ、「どうにでもなれ!」という思いも、半分ぐらい込めての記事です。

by アキラ (2008-05-22 09:35) 

アキラ

ijimari さん

姉歯なんて、バカタレのお陰で、未だに建築業界が振り回されていると言う訳です。
本来、戸建て住宅までは累が及ばない筈なんですが、「欠陥住宅」や「手抜きによる重大事故」の発生が多いことから、このような法律の出現となったのだと思います。
良心的な工務店には、全く良い迷惑ですよね。
by アキラ (2008-05-22 09:41) 

アキラ

plusgate さん

またまた、ご謙遜を!
ブログ見てますってばー!

私は某大手ハウスメーカーの建築部長の家を「木造」で建てたことがあります。
その部長さん、何と言ったと思います?
「自分の会社が建てる家は、怖くて住めない」です。
そんな家を私たちより遙かに高い金額で売っている・・・これが実体です。
by アキラ (2008-05-22 09:52) 

こう

大手を信用してしまう国民性を何とかしないと、四川の二の舞になりますね。
by こう (2008-05-22 12:23) 

TOMO

個人が大手を相手に
裁判で勝つことは非常に
難しいですよね。
日本人はネームバリューに
弱いですから。
by TOMO (2008-05-22 16:53) 

アキラ

こう さん

ご訪問戴き、ナイス・コメントをありがとうございます。
四川の二の舞とまでは行かなくても、大手を相手にすることがステータスだと勘違いしている人が多い国であることは間違いなさそうです。
実際、大手が造っている住宅って、思う程でもないんですよ。
by アキラ (2008-05-23 11:36) 

アキラ

TOMO さん

大手が建てる住宅でないと、「近所に恥ずかしい」と言った、おバカがいました。
まだ日本って、そんな感覚なんです。

by アキラ (2008-05-23 11:43) 

アキラ

皆さん、いつもナイスとコメントを有り難うございます。
改めて、お礼申し上げます。

大手で家を建てる方は、一つ重大なミスを犯していることに気づいていません。

既に大手で家をお建てになった方、一度契約約款を見てみてください。
ね!私が言うことは、間違いじゃないでしょ?

大手の契約約款には必ず「当社の本社を管轄する裁判所とする」と書かれています。
本社は大体離れたところ(関西又は北海道?が何故か多い)
事情聞き取りや裁判の度に、遠方まで自費で行かなければなりません。
しかも、裁判所の都合だけで呼び出されます。
私は裁判途中で自殺された方も知っています。
会社を休んで北海道まで10数回通われたようですが、そのストレスは大変なものらしいですよ~・・・
by アキラ (2008-05-23 11:51) 

しゃくとりむし

>私は裁判途中で自殺された方も知っています。

以前勤めていた会社で完了金未払いの裁判を起こした事がありました。
(小さい会社なので裁判なんてめったになかったのですが・・・)
私はノータッチの現場だったのですが、上司が対応に追われていた
のを思い出します。

仕事でやっていてもあれだけ大変だったのに、
個人でしかも仕事を持って裁判を闘うことは大変なことだったろうと思います。
どちらが正しかったのかは私には推し量りようがありませんが、
大企業なら大企業らしくもっとフェアなやり方が出来ない物なのかと
腹立たしく思いました。

by しゃくとりむし (2008-05-24 23:37) 

sasa_koji


各装備 カードの効果について
セット装備等、計算機の文字数上省いているものがあります。
詳細は「装備考察」をご覧下さい。
http://www.yaplogjp.com/Blog/
by sasa_koji (2008-05-25 10:45) 

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