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叩き大工 [湘南の家づくり]

HIMG0002.JPG  釘は真っ直ぐに打たないと、このように・・・

『ひどい家』に出会いました。

一目見て「あ!この家は素人がつくったな?!」と、そう思ったのです。

色んな所の『納まり』(作り方)がなっちゃいなかったから・・・



家は『総持ち』といって、1ヶ所や2ヶ所ぐらい弱いところがあったとしても、

そう簡単に壊れたり倒れたりするものではないのです。


簡単には建替を勧めない私ですが、流石にこの家だけは『建替えた方がいいかも?』と

思ったほどでした。


「どこの工務店でお建てになりました?」

「東京に住んでいたので、不動産屋さんの紹介で『叩き大工さん』に建ててもらったんですよ」

「え?叩き大工って、誰かが言ったんですか?」

「はい、大工さんがご自分で・・・俺は叩き大工だから仕事が速いって!」


「へ?・・・あっ!そ~なんですか?」

「叩き大工って、『叩きあげられた腕のいい大工さん』のことなんですってね~?!」

思わず、コニコ微笑みながら話すこの家の奥さんの顔を呆気にとられて見てしまいました。



大工も色々です。

叩き大工のことを、別名『雪隠(せっちん)大工』とも言います。


叩き上げのしっかりした腕を持った大工のことではなく、

『釘もまともに打てず、あらぬ所を叩いてばかりいるような』下手な大工。

『雪隠(便所)ぐらいしか造れない、未熟な大工』を指すのです。



この家は建てられてようやく16年・・・本来であればこれから本当の味が

出てくるところです。

しかし、この家は『どうにか建っている』だけで、少し大きな地震でも心配でした。


最近、『叩き大工』や『雪隠大工』等という表現はあまり聞きませんが、

腕のいい、本物の大工が極端に少なくなってきました。


木造住宅の技術は親方から弟子への『伝承』です。

しかし、最近の若者は「修行」を嫌って、技術の習得は長続きしません。

本物の職人は、みな歳をとってきました。

その道に精通し、完璧に技術を収得した職人を『匠(たくみ)』といいます。

『匠の家』などと、今後もコマーシャルの釣り文句としては使われて行くでしょう。


匠という文字と言葉だけは残っても、本物の匠が実在しなくなるまでに

遺された時間は『あと10年』あるでしょうか?。

『時間がない!』・・・・私はそう思っています。



いろいろな世界で職人の技が廃れようとしていますが、

建築業界にも同じ兆しが見えているのです。



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コメント 4

ijimari

☆匠って言われている人が本当に匠なのかすら、
わからなくなってきていますよね。
by ijimari (2008-08-26 12:41) 

たろちぅ

最近、どの業種でもそうなのかも、です。
広告業界でもパソコンが普及してから基礎がなってない人が多くー(T_T)
by たろちぅ (2008-08-26 18:57) 

toyo

まったく、まったく、同感です。
よくぞ言ってくれました。パチパチパチ!
どこでも匠の大安売りですもんね。
(自分のことは棚に上げて・・・ですが)
by toyo (2008-08-27 10:51) 

浜松自宅カフェ

設計はしても作る人(大工さん)が居ない・・・。
と言う時代がすぐそこに来ていますよね。
プレカット前提の設計と言うのは避けたいです。
by 浜松自宅カフェ (2008-08-27 20:42) 

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