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外断熱を考える [お仕事]

毎日、ふざけた記事をUPしていますが、たまには真面目な話もしませんとねー。

・・・と、いうことで、本日は外断熱についてのウンチクを少し。

 

外断熱は、家の外側をスッポリくるんでしまうため、『理論上』は、理想的な断熱方法だと思われています。

 しかし、基礎の外側まで断熱材でくるんでしまうので、断熱材が『シロアリの巣』になることが解っています。

 外断熱を採用している建築業者は、シロアリの巣になることについては承知しているようで、断熱材の切り口にステンレス・ネットを被せれば心配ないと言います。

果たしてそうでしょうか?

シロアリ防御のためのステンレス・ネットは、丁寧に、少しの隙間もなく被せないと全く意味がありません。

 対症療法的な工法で、しかも、現場の職人の技量に左右される工法は、決して好ましいものではありません。

元々高価な工法に更にステンレス・ネット代と取付費用がかかり、工事如何で出来・不出来が左右される外断熱工法。

 拙者は湘南地方を例に挙げて、シロアリの生息地域では外断熱の採用は考え物だと言い続けて来ました。

 

外断熱材は主に、発泡ポリスチレンと発泡ウレタンです。

 

西方里見著「外断熱が危ない」では、ポリスチレンが燃えて、水をかけると、「塩酸」の水になる。

更に、80℃がポリスチレンの熔解点とされており、屋根直下に施工する外断熱では、3年で溶けてなくなる。と指摘しています。

 実際に、ある種の屋根材を使った、真夏の屋根直下の温度は、90℃近くまで上がることが確認されています。

 

 発泡ウレタンの場合には、大体2倍発泡(樹脂が100:ガスが100)で、使用されるガスは、オゾンホールを拡大させると言われている、フロンガスです。

こちらの方は燃えると、猛毒のシアンガスの発生が問題視されています。

外断熱材は家の外部に施工するため、『日射の熱』による変形が生じ、隙間ができると家の中では結露が発生します。

外断熱材の継ぎ目には、『気密テープ』を貼りますが、劣化による剥がれも問題化しています。

 

外断熱とした家は、24時間、機械で空気を入れ換える必要があります。

外断熱の家の中で人が生活すると、ペットボトルと同じですから、嫌でも応でも水蒸気が発生します。

 万一、24時間機械換気を止めたら、30分位で窓には結露が生じるのです。

 

自然の風を入れて、夏は夏らしく、冬は冬らしく・・・は絶対に無理な工法なのです。

 

 外断熱住宅では、24時間機械換気を止めてしまったら、確実に家はダメになってしまいます。

 湿気の多い日本では、仮に2年間海外勤務になって、家を空けておく場合にも、24時間機械換気だけは止めてはいけません。

 

 余り知られていない情報を開示しましょう。

 

 

家は105㎜又は120㎜程度の柱を挟んで、外壁と内壁が作られます。

外断熱の場合には、壁の中には断熱材が入らないので、『空洞』です。

 なんらかの音が発生したら、どうなるでしょう?

大太鼓と同じで、反響しあって、家の中じゅうに響き渡るのです。

 

 最も多い『音源』は、24時間機械換気の重低音。

 24時間機械換気のスイッチを切れば、結露で家が駄目になり、スイッチを入れっぱなしでは反響する重低音が響いて、とても寝ていられない状態が続くのです。

 

 空っぽの壁の中を自由自在に駆けめぐる音のことは、誰も教えてくれません。

 

 外断熱で使われる断熱材は、科学的に作られた断熱材で、メーカーは難燃性だと言います。

 実験室の中などの、ある一定条件の下では難燃性を発揮しますが、火災のような不特定の条件下では必ず燃えてしまいます。

 

 隣家の火事で、外断熱のがらんどうの壁の中に火が入って、「いい家」(外断熱の家)が全焼した例も出てきました。

空っぽの壁が「煙突効果」を発揮したものと考えられます。

 難燃性を唱ってはいますが、『難燃性とは燃えにくい』のであって、燃えないのではありません。

 外断熱の家は、床・壁・天井のどこをどのように探しても、水蒸気をコントロールできない造りとなっています。

 これは、とりもなおさず、徐々に家が壊れていく造りであると言っても過言ではありません。

 

 最近目に見える形で、ある結論を出したハウスメーカーがあります。

予算がある方には強烈に外断熱を勧めていた、大手ハウスメーカーのNホームは、ついに外断熱から撤退をしてしまいました。

 まあ、新築から12、3年も経ったら、今度は建て替えの営業にでも行くのでしょう。

 

 「いい家が○しい」や「さらにいい家を○めて」などの本を書いて、積極的に外断熱を進めてきた建築業者や『売れさえすれば何でもあり』の出版社の責任は非常に大きなものがあると思います。

 拙者がいつも言ってるように、本やセミナーでは、いくら勉強しても『いい家』は決して出来ないのです。

 

 なぜなら、そこには必ず利害があるから・・・・都合の悪いことは『シー!』だから、です。

 

 日本の気候に最も合わない工法を選んでしまって、既に外断熱で家を建ててしまった方は、本当にお気の毒です。

 

 拙者は、かなり前から、外断熱は『赤信号点滅中』だと言ってきましたが、どうやら本格的に『通行止め』とした方が良さそうな時期に来ているようです。

 

 


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kyotto

こんにちは。ご子息様のブログではいつもお世話になっております。
外断熱S○の家に住んで半年、大変興味深く読ませていただきました。
外か内か勉強しましたが、一長一短のようにしか思えず、
結局、年間を通して室内温度が安定していること、冷暖房の効率の高さを
評価し、S○の家にしました。
断熱材につくシロアリ、耐熱性のことなど、私の記憶にはない情報で、
工務店に聞いてみたく思いました。
実際住んでみて、生活音が家中に伝わることは確かに△です。
(事前にこの点説明があり、間取りを工夫したりで現状不満はありませんが)
ただ、24時間換気の音は、今まで気になったことはないです。
使う機械や設置場所などを誤ると、大変なことになるんでしょうね。
それから結露。私は、電源オンオフと運転強弱スイッチを、時々間違えます。(デザイン重視で間違えやすいスイッチに変更したのは私ですが)
就寝前から翌夕方までオフにしたこともありますが、
室内に結露は見られませんでした。冬場は室内の乾燥が激しいですし、
換気がとまって逆によかったのかもしれません。
使っているサッシにもよるのでしょうか?

一度家を建ててはみたものの、おっしゃるように利害が絡んだ情報は
多いでしょうね。
私たちはどれほど真実に近づけたかはいまだにハテナで、
我が家は「通行止め」なのかもしれません。
他をあてにしてはいけませんが、アキラさんのように、
本当にいい家を提供しようと考える方ばかりになればよいのに・・・。
by kyotto (2006-07-26 00:50) 

アキラ

romeo さん
コメント感謝申し上げます。
これからも息子をどうぞよろしくお願い致します。
実際にお住まいになっていらっしゃる方からの、貴重なご意見として、お承り致しました。

湘南地方は、『海が近い』『梅雨や春・秋の長雨がある』『夏は30℃以上の気温になる』『シロアリが生息している』と言う地域特性があり、このような地域は日本中にあります。
そのため、私は湘南地方を日本の代表選手として扱い、湘南地方を知ることが家づくりには最重要と考えています。
代をつないで住み続ける事が出来る、丈夫で長生きの家を造ることも目的の一つとしています。
さて、外断熱住宅について・・・私は外断熱の家を建てているわけではありません。しかし、既に外断熱住宅に住んでいる方からの情報、断熱材メーカーからの情報、書籍、外断熱住宅を作っている大工さんからの情報等で常に勉強をして、自分なりに咀嚼した上で情報として発信するようにしています。
様々な選択肢がある中で、どの断熱材を選ぶか?は非常に重要です。
現在の住宅は、おしなべて換気・使用材料の呼吸性・吸放出性がない、もしくは極めて乏しいものとなっています。
断熱材が科学的に作られたものであって、家の中の湿気や蒸気をコントロールするシステムが欠如している・・・と考えると、家は徐々に壊れていくという結論しか、導き出せないのです。(どのように好意的に考えてみても・・・・)
機械換気を切ると、窓には結露が・・・と書きましたが、ペアガラスサッシの場合には、緩和されるようです。
しかし、ビニールクロスなどは汗をかいているのではありませんか?
外断熱の家の場合、外装に使用された材料・内装に使用された材料によっても、多少の違いがあるようです。
私が書きましたのは、最悪の場合にはこのようになりますよ、と言う意味で書いていますが、オーバーに書いたつもりも、間違ったこと書いた積もりもありません。
内断熱材・外断熱材について、勉強されたようですが、『科学的に作られた断熱材』の場合に限り、一長一短です。
丈夫で長生きの家を造るには、換気・使用材料の呼吸性・吸放出性を考えて、湘南地方の特性を念頭に置いた上で、適正な断熱材を選ぶ必要があります。
適正な断熱材とは、呼吸性・吸放出性に優れたものであることが一大条件となります。
残念ながら、科学的に作られた断熱材には、呼吸性・吸放出性に優れたものがありません。
私が今までにブログに書きましたことを見ていただきましたら、ある程度お解り戴けると思いますが、外断熱住宅に限らず、科学的な断熱材とあいまって、内外装に使われた材料が、建材メーカー品である場合には、最悪の結果が待ち受けていると言わざるを得ません。
外断熱住宅の場合も、このような建材(建材メーカー品)を使って建てられた家は誠に残念ながら・・・という結論しか出てきません。
なによりも、顕著な事例(Nホームの撤退)が物語っているように思います。
私のブログは、問題提起型だと言う方がいます。
今後もめげることなく、問題を提起して参ります。
よろしかったら、息子同様、これからもよろしくお願い申し上げます。
by アキラ (2006-07-26 09:37) 

kyotto

こちらこそ。お願いいたします。
シロウトのつぶやきにご丁寧な返事を頂き恐縮致しております。
24時間換気の家=人工呼吸器を付けた人間のようなもの。
機械の力をかりなければ生命を維持できないなんて、どうなんでしょうね。
おまけに人工呼吸器の性能を出し切るためにせっかくの木造の家を、
人工素材でぴっしりと封をしているなんて。
それはわかっているんですが・・・でも高断熱高気密の家に住んでます(笑)
最少のエネルギーで快適な室内環境を手に入れられるのではという理由で。
今のところ、この選択に後悔はしてません。これから先は・・・どうでしょうね?
人間の知恵はすばらしいけれど、どうしたって自然を超えられないのですよね。技術を持つ人間は自然と闘う方向をしばらく続けてきましたが、
そろそろ自然との共存をしなければ破滅ということに気づき始めているような気もします。そうすると家作りも変わっていくのかな。
温暖化対策などが進んで、自然の風で暮らせる時代がくると
いいな。などとシロウトは思ったりしています。
(でもそれには人間が弱くなりすぎていますね。)
今の工務店に決めるまで、HMとも、建築デザイナーとも話をしましたが、
誰が本当の事を言っているのかと悩むことが何度もありました。
物事には必ず二面性がありますが、
でも、明らかに良くない情報を己の利益のため「シーッ!」に
していることは(住宅に限らず)よくありますよね。
でもそれはシロウトにはわからないのです。
泣かされるシロウトが一人でも少なくなるよう、
どうかこれからも「シーッ!」なことを世に知らせてください。
もう家を建てることはないと思いますが、どうぞお願いします。
by kyotto (2006-07-26 15:10) 

アキラ

romeoさん
人工呼吸器を付けた人間・・・ですか?実にうまいことを仰る。(笑)
高気密高断熱の家に付いても一家言ありますが、今回は遠慮させてください。
外断熱S○の家に住んで半年だそうですが、10年目ぐらいに大規模改修を計画なさったらよろしいかと思います。
それからでも、人工呼吸器を外して、生き返らせる事が可能だと思います。
by アキラ (2006-07-26 17:27) 

浜松自宅カフェ

ついでに言うと、基礎断熱の外張りもNGですね!
シロアリのコロニー(巣)は地面の中にあり、布基礎と断熱材の間を通ったシロアリ
の蟻道(ぎどう)が隠れてしまうため、蟻害に気付くのが遅くなります。

僕もお施主さんから外断熱について問われ、色々と調査した結果、充填断熱を
お奨めしました。ちなみに、北海道でも充填断熱の方が主流なのだそうです。

日経ホームビルダー誌でも、外断熱と充填断熱の断熱性能比較の特集が
ありましたが、キチンと施工した場合、断熱性能は殆ど変わりません。
敢えて、外断熱の優位性を挙げると「施工」によるバラツキが少ないことでしょうか。
充填断熱の方が、施工の知識と技術が要求されるようです。
そのため、平均すると外断熱の方が断熱の初期性能が確保されやすいです。

ちなみに、シロアリはアリと言う名が付いていますが、蟻ではなくゴキブリの
仲間なのだそうです。良く見るシロアリは、成虫ではなく、いわゆる幼体で
(だから白い)光や空気に弱いそうです。乾燥しますからね。
シロアリは、湿気を含んだ木を好んで食害すると言うイメージがありますが、
乾燥に弱いからだそうです。実際は、乾燥した木材でも食べてしまいます。

>アキラさん、シロアリ特集でもやりますか?
by 浜松自宅カフェ (2006-07-26 23:26) 

cuvesx

・・・撤退しちゃったんですか・・・他の言葉が浮かびません・・・
by cuvesx (2006-07-26 23:33) 

アキラ

浜松自宅カフェさん
貴重なご指導をありがとうございます。
シロアリ特集は以前一度やりましたが、またやりましょうか?
丁度羽蟻が飛翔する時期でもありますし・・・・

いつもナイスをありがとうございます。
by アキラ (2006-07-27 08:23) 

アキラ

Honuさん
Nホーム、外断熱住宅をつくることからの撤退ですから、事は重大です。
予算がない方には、充填(内)断熱を、予算がある方(お金持ち)には、外断熱を勧めていましたが、そもそもこのような営業方針自体を疑います。勧められて外断熱住宅としてしまった方は、いい「面の皮」ですよ。
お気の毒・・・としか、いいようがありません。
10年後ぐらいには、大規模改修をする必要がありますねー。
by アキラ (2006-07-27 08:29) 

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