SSブログ

人間模様 [日記]

 

 建築業を長年やっていると、色んな人に出会います。

今日はそんな人間模様です。

 

拙者が若かりし頃・・・あるお宅でリフォームの打ち合わせをしていました。

打ち合わせの相手は、ご主人が長年海外に行っていらっしゃるという、中年の

奥さんでしたが・・・

 

話の途中で・・・急に「あなたに見せたい物がある」

足継ぎを持ってきて、高い『天袋』の中から、何かを出そうとして・・・・

 

拙者にも『落ちたのか、飛び降りたのか』・・・ぐらいは判ります。

たしかに飛び降りて、いきなり床に座り込んだと思ったら「アイ タタタ・・・」

 

何時までも脚をさすっています、顔だけは如何にも痛そうに・・・

『飛び降りたんじゃない?』 と放って、待っていたのですが、余りにも何時までも痛そうなので、

立っていって一応『大丈夫ですか?』

立たせようと手を差し出しました。

 

そうしたら・・・・いきなり『ガバッ!』と抱きついてきて

「女に恥をかかせないで・・・」

 

『恥をかかせて』 帰ってきました。

 

拙者は貧乏人が大っ嫌いです。

貧乏人と言っても、拙者は本当にお金がない人の事を『貧乏人』とは表現しません。

 

「これだけしかないんだけど、なんとかやってもらえませんか?」

こんな方には、例え赤字だろうと丸抱えだろうと、どんな苦労をしてもやり遂げます。

 

しかし、お金があるのに(?)、契約後に値切るような『ケチな野郎』だけはダメなんです。

 

あるお宅で散々打ち合わせを繰り返して、ようやくリフォームの契約に結びつけました。

着工して足場が組み上がった頃、現場に出向くとご主人から呼ばれました。

 

「こんなに数量が、ある筈ないだろう?」

「立ち会っていただいて計測しましたよね、図面もお借りしてパソコンに写してキチンと

数量を出した事は確認戴いている筈ですが・・・」

「オレの感覚的には、こんなに 『ない』 と思うんだよなぁー、金ないんだよ、金額減らしてくれよ!」

 

これは『契約後』の話です。

『ものの言い方』もそれまでとは違って、高飛車でした。

 

契約した途端に人が変わる方・・・結構いらっしゃいますよ。

お金を払って戴いて、初めてお客様です。 

で、このお宅・・・結局どうしたと思います?

 

『足場解体! 撤収!』

 

「何もそこまでしなくても・・・解りましたから、契約した金額でいいですから」

それには応えず、とっとと撤収して帰ってきました。

 

最近は「金を払えばいいんだろ?」的な方も増えました。

人のことを『下に見る』方も出てきました。

そうじゃないことを、こんこんと言って聞かせて、それでもダメなら『ケツを捲る』だけです。

施主と施工者としての立場は弁えても、『対等な関係』だと思っていますから。。。

 

工事をさせて戴いたあるお宅の奥さんは、若く スタイル抜群で、チャーミングな方でした。

毎日ジーンズだけを穿いている方でしたが、一寸 『悪戯心』 を出して・・・

 

「奥さんはミニスカートが、似合いそうですね」

「ジーパンしか、もってないんですよぉ、スカートは一枚も持ってなくてぇ」

 翌日・・・現場へ行って、ひっくり返るほど驚きました。

 

超・超・超ミニ!のスカートを穿いていたのです。

正座をして、お茶を入れてくれる若い奥さんの・・・・

 

『言ってみるものだ』 と思いましたよ。

でもその後、どなたにも言ったことはありませんが・・・

 

 

認知症を患って、亡くなった方の部屋の後始末を頼まれたこともあります。

行ってみて驚いたことは、部屋中(床・壁・天井からガラス窓・襖・家具まで)ありとあらゆる物

が、焦げ茶色に染まっていたことでした。

既に乾いていて、臭いはそれほど感じませんでしたが・・・・

普通でしたら、なんとしても断る仕事です。

 

『なんとか、やってもらえませんか?』

どこの工務店に頼んでも、相手にして貰えないということでした。

泣きださんばかりに哀願する奥さんの姿に、『よ~し!』と、内装の改修を請負いました。

 

お気の毒なご家庭から仕事を請け負う事もあります。

もう70過ぎのご夫婦でした。

何故か狂ってしまった、40過ぎの娘さんと暮らしていたのですが・・・・

「私たちが居なくなったら、この子は生きて行けないんです」

「死ぬときには、一緒に連れて行くしか・・・・」

 

『大丈夫、私に任せておきなさい』とも言えませんし、黙って聞くしかありませんでした。

 

 

一口で 『人間模様』 なんて言いますが、人にはなかなか言えないような『大きなもの』を

抱えていらっしゃる方もいらっしゃいます。

中には『変な』方もいらっしゃいますし、『鼻持ちならない』方もいらっしゃいます。

 

 

建築関係・・・人様の住む家に立ち入って打ち合わせを行い、施工をする事も多いのです。

普通の人には経験出来ない、人間模様の裏側を見てしまう事もあるのです。

 


nice!(7)  コメント(8) 
共通テーマ:インテリア・雑貨

nice! 7

コメント 8

misuzu

わたしも、客商売をやって感じます。「小さくて狭い日本だけど、ちっちゃくなんかないよな~  いろんな人いるもの!」とよく思いますよ。
by misuzu (2007-06-29 14:03) 

ホント読んでいると、腹のたってくる お客さんがいるのですね・・・
恥かかせて帰って正解ですよ!!!

建築関係・・・裏の客を見た気がします。
by (2007-06-29 16:38) 

『対等』というスタンスは私も同感です。
建築関係という仕事は責任も重く、やりがいもありますが確かに思わぬ人間模様を見たりしますよ。キャリア15年ぐらいの私とは比較にならないほどいろいろ見てきていらっしゃいますね。
私もアキラさんの歳まで現役でいられるようにがんばりたいと思います。
アキラさんの文面のパワーから察しますとまだ引退は遙か彼方のようですね。
by (2007-06-29 18:08) 

アキラ

misuzuさん
本当に、世の中色んな人がいますよねー。
そんな人たちを見つめながら、今日も頑張っています。
by アキラ (2007-06-30 10:42) 

アキラ

パオさん

正直、「誰も見ていないんだし」、「据え膳喰わぬは男の恥」とも言うしと
一瞬考えましたが、結局恥をかかせて・・・・
当時私は30一寸、相手は中年のオバサンでした。
絶世の美女だったら、負けていたかも?
by アキラ (2007-06-30 10:47) 

アキラ

ヒゲボーズさん

お金を戴いて初めてお客様。
立場は違っても、人としては対等。
このスタンスをずっと続けてきました。

え?まだ休めませんか?・・・少し疲れたんですが。。。
by アキラ (2007-06-30 10:49) 

浜松自宅カフェ

nice!nice!nice!なお話にとても参考になりました。
足場の撤収と言う決断もniceですよ。
「請け負け」して欲しくないですからね。

>対等な関係』だと思っていますから
何の商売でも同じだと思います。
お客は、対価に見合う価値を受け取っているわけですからね。
このスタンスは僕も続けて生きますよ。
by 浜松自宅カフェ (2007-06-30 10:55) 

アキラ

浜松自宅カフェさん

人間、何かしら1本背筋に通ってないといけないと思うのです。

へらへら笑って生きていますが、時には毅然と・・
by アキラ (2007-06-30 17:13) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

上げる!霧雨と親のバチ ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。