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わたしは貝になりたい [日記]

アサリ.jpg

今年のアサリは大きくて美味しく、ダシもよく出ました。
 
アサリは春と秋に太って、水温の上昇する春が1年で1番美味しいと言われていますが、

そろそろ食べ納めの時期を迎えたようです。


「麦の出穂期が来たら、アサリは食うな」と言う諺があります。

麦の穂が出る時期(大体4月の終わり頃~5月にかけて)を過ぎたアサリは

『産卵期を迎えて毒を持つようになり、中毒しやすい』からなのだそうです。


普通3%の塩水を作り、覆いをかけて暗くして砂を吐かせますが、

僅かな塩分の違いであっても『うまく、砂を吐かない』ことがあります。

一番いいのは、『海の水を採ってくること』

幸いに我が家は海の近くですから、いつもアサリには海の水を

汲んできて砂を吐かせます。

そうすると、水道水と塩で作った塩水とは比べものにならないほど、

元気良く口を伸ばして海水を飛ばします。




昭和30年頃だったでしょうか?

「私は貝になりたい」という小説が有名になりました。

戦時中に上官から捕虜を殺害するよう命令でされた兵隊が、B級戦犯として

軍事法廷で裁かれ、「上官の命令を、拒否しなかった」という理由で

死刑判決を受けて処刑される・・・というような話だったと思います。


処刑前に、家族に宛てた手紙に・・・

もし、又生まれて来ることがあったら、戦争もなく、他人からひどい目に遭う

こともない「深い海の底にいる、貝になりたい」という結末でした。


貝は蓋を閉めて、押し黙っていることから『無口な人』にも形容されますが 、

今回私は『この小説でもなく、無口な人でもない』全く違う意味で、

『貝になりたい』と思ったのです。



私たち人間が、もしも、吸っている空気を遮断されたらどうするでしょう?


恐らく、『見苦しく慌てふためいて、あがき苦しみ』 『助けてくれ!と命乞いをし』

『他人を踏み殺してでも、自分だけはなんとか生き伸びようとする』のでしょう。



アサリを買っては来たのですが、お天気が悪くて海の水を汲みに行けませんでした。

やむを得ず、水道水に塩を入れて塩水を作りましたが、固く蓋を閉めたままで

一向に口を開けてくれません。

きっちり塩分3%に作ったはずなのですが、水道水がいけなかったのかも。

5~6時間そのまま待ちましたが、ビクともせずにジッと息を殺しています。


『このままでは、死んでしまう』雨も上がったので、海の水を汲んできて浸しました。

待つこと僅か5分ほどで一斉に口を開け、長い口を伸ばして呼吸を始めたのです。


もし、海の水を汲んで来なかったとしたら、このアサリ達は一体どうしたのでしょう?

恐らく、『蓋をしっかりと閉じたまま、身動き一つしないで静かに死んで行った』筈。



変に思われるかもしれませんが、私はアサリに『武士の姿』を見た気がしたのです。

私が思う武士とは、『言い訳をしない』『命乞いをしない』『慈悲の心を持つ』男達。

常に武士たらんと心がけている私・・・


私も死期を悟った時には、見苦しく取り乱すことなく、

『貝を見習わねば』と。。。

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コメント 13

アサギいろ

アキラさん。
アサリ以外の貝は農民や商人なのでしょうか。
そういえば、東京湾に新しい貝が生息していると聞いたことがあります。
その貝はきっと外国人ですね。
by アサギいろ (2008-04-13 00:48) 

しゃくとりむし

『死に様』なんて言葉あまり聞かなくなりましたが、
本当はもっと良く考えた方がいいのだろうなと思うことがあります。

どう生きたいかを考えるより、どう人生を終えたいかを考えたほうが、
それまでをどう生きるかがより鮮明に見えてくるような気がするのです。
人生思う通りにはいかないことも多いと思いますけどね。
by しゃくとりむし (2008-04-13 06:44) 

たいせい

 妻が産後で、ミネラルやタンパク質を沢山採らせようとの思いもあり、ご当地三河湾産のアサリは今の我が家の食卓からは切り離せません。
 うちの場合は、自然塩で塩水を作りそれで砂を吐かせますが、私が塩水を作ると辛く妻がやると薄味の塩水ですがいずれも良く砂を吐き、余り塩分濃度は関係ないように感じています。(自然塩で有る無しの影響はあるかもしれません)
 ただ潮の満ち引きの関係なのか?、時間によって身をよじるように活発に足を伸ばす時間と殻の中に縮こまる時間帯があるとの印象を持っています。

 一昨年までは、北朝鮮産のアサリが浜に蒔かれて大きくなる前に出荷されたものが多かったのか?シーズン終盤になると身の小さい物が多いとの印象を持っていましたが、北朝鮮産が入らなくなって価格は多少上がりましたがシーズン終盤の夏近くまで、身のプリプリしたアサリが食べられるようになったと喜んでいます。
(途中で貝殻の模様が変わったアサリは浜を動かされた証拠で、北朝鮮産が入らなくなってそんなアサリが目に見えて減ったと感じています。)

 出産がなければ今シーズン子供達を連れて潮干狩りに行こうと思っていましたが、残園ながら今年は果たせませんでした。
 次男が歩けるようになったら、浜にくり出そうと思っています。
by たいせい (2008-04-14 12:47) 

ラムねーさん

私、その映画、以前見ました。
最近新しく作るとか・・・

重く、つらい映画だったと記憶しています。

戦争は人の心を狂わせてしまいます。
狂わされた不幸な人たちに罪があるのかないのか、私にはわかりません。


貝類は大好きです!
by ラムねーさん (2008-04-14 13:08) 

toyo

いい話です!
かっこいいです。私もそうありたいけど全然自信がありません。
まあ、みっともなくわめきながら死ぬのも違う意味でかっこいいと思うことにします。映画はフランキー堺の名演で傑作でしたね。
by toyo (2008-04-14 13:46) 

アキラ

アサギいろ さん

新しい貝は、タンカーのバラスト水に入ってきて、湾内でバラスト水を捨てることで東京湾内で繁殖すると聞いたような気がします。
by アキラ (2008-04-14 14:51) 

アキラ

しゃくとりむしさん

人生思うようには行きませんが、仰るように、どう死ぬかを考えることが重要なのかも知れませんね。
by アキラ (2008-04-14 14:54) 

アキラ

たいせい さん

やはり、自然塩だと違いますか?
私は水道水の方に、問題があるのかなぁと思っています。
海の水に浸すと、それはそれは凄い喜びようですよ。

よっぽど記事に書こうかと思ったのですが、よくご存じで・・・
そーなんですよ、殻の柄の途中から色が変わっている貝は、生息場所を移動させられた貝なんですよね。

それと、殻の色が濃いアサリは、汚い生息環境で育った証拠なんですよ。
ですから、殻の色が白っぽくて、大きなアサリは生息環境もよく、美味しいんですよね。
by アキラ (2008-04-14 15:02) 

アキラ

ラムねーさん

映画は見ていませんが、中学生時代に小説は読みました。
たまたま、父が読んだ後だったと思います。
上官に殺害を命令されたのですが、傷を負わせただけで殺せなかったんじゃなかったでしょうか?
それなのに死刑・・・なんだか変な話だなぁ」と思った記憶があります。
by アキラ (2008-04-14 15:06) 

アキラ

toyo さん

もちろん、私もその場に至れば、toyoさんと同じだろうと思います。
まぁ、理想とでもいっておきましょうか?
小説は読んだのですが、映画、残念ながら見てないんですよ。

by アキラ (2008-04-14 15:09) 

myumyu

アサリの砂抜きに海の水、海が近いとそんな事も出来るんですね。
「私は貝になりたい」、ずーっと昔に見た気がします、とっても哀しい映画で最後の言葉を良く憶えています。(それだけ衝撃的な言葉です)
by myumyu (2008-04-14 17:14) 

アキラ

myumyuさん

海の水を使うと、本当によく砂が出ます。
アサリは今が旬ですから、むき身にして葱と一緒に煮たり、パスタに殻ごといれたりして、美味しく食べています。
といっても、作るのは私ではなく家内ですが・・・
by アキラ (2008-04-14 18:07) 

たろちぅ

海は近いけど、横浜港の水は。。。
アキラさんちからすぐのトコは海の水キレイですよね♪
アサリ、子供の頃よりも砂をはかなくなった気がしてたけど、
もしや水道水のカルキがキツすぎるのかしら?

by たろちぅ (2008-04-18 00:04) 

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