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人間しぐさ [日記]

竹.jpg 「竹に上下の節あり」

『長幼の序』なんて言葉を口走ると、家内は必ず「大正時代の人みたい」と言って笑う。

どうやら、『目上を立てる』『目上を敬う』等という言葉自体が、既に死語に

なっているのかも知れない。

実際、私に非常に近い人に「目上を敬え」と言うと「なに?それ・・・」みたいな顔をされて、

言った本人(私)が唖然とすることがある。

私は何も難しい事を言っているのではない。

人間として出来て当たり前(だと思っている)な『人間しぐさ』が出来ていないから

言うのだ。


『人間しぐさ』とは、メンタルコンサルタントとして有名な近藤 裕氏の造語で、

人間として絶対的に必要なマナーをいう。

だた単なるマナーではなく、「心地よく住み良い社会を作り」、「人々に幸せをもたらす」

『人間として、最低限必要なマナー』を言うのだ。


今から25年前の1983年、海外生活から帰国した近藤氏は或る大学の教壇に立っていた。

講義を始めるに当たって「おはよう」と挨拶をしても、学生達は誰一人として

返事をしないばかりか私語を止めようとはしない。

そこで氏は講義を中断して、学生達と『人間しぐさ』についてディスカッションをしたそうだ。

そこで判ったことは、家庭が「人間しぐさ」の原点であり、最初かつ最後の教育の場

であるにも拘わらず、彼らの親たちは子供達に「人間しぐさ」を教えていないことだった。

学校へ行くようになっても、小中学校の先生からは『何故、挨拶をするのか?』という

理由も教えられず、「考えたこともない」という学生の言葉に愕然としたという。


今の親たちには、「人間しぐさ」を教える知恵がなく、教えるだけの能力もない。

『人間しぐさ』の重大な価値についても気づいていない・・・と私は思う。


朝起きてきて、親と顔があったら「お父さん、おはよう」「お母さん、おはよう」

家に帰ったときには「ただいま」ご飯の時には「戴きます」「ご馳走様」

そして、夜寝る時には「お休みなさい」

たったこれだけの挨拶すらできない、現代の子供たち。


自分の親に対してさえ、まともに挨拶もできない現代の子供達が大きくなって、

そのまま社会に出てくるのだから、雇う側としては堪ったものではない。


我が身を振り返ってみると、私が子供の頃には確かにやっていた。

だから、子供にも『そうするように』教えた。

食事中は一家団欒の時、我が家では今でもTVは消す、新聞は読まない。

食事中に携帯電話やメールなんてもっての他、もしやったら恐らくゲンコツが飛ぶ。


私が子供のころには「おとうさん、おはよう」と挨拶をしたら、

無言で母の平手打ちが飛んできたものだ、「おとうさんに対して、なんて挨拶を! 」

目上にはきっちり「おはようございます」と言わなければならなかった。


今から25年前の大学生と言えば、現在は45歳前後。

私よりも一世代後の生まれか?子供がいれば、一番多感な中高生だろう。

理由をしっかり理解していて教えてくれる親さえいれば、『人間しぐさ』も

しっかり身に付くだろうと思うのだが・・・親が知らないのでは話にならない。


弁当を作って持たせるなんて考えたこともなく、朝は起きない母親。

毎日外で食事をして、夜遅くに飲んだくれて帰宅する父親。

学校から帰ってきても、子供を迎えてくれるのは「し~ん」と静まりかえる空気だけ。

『人間しぐさ』を知らない子供が増えるのは、やむを得ないのだろうか?


「何をモタモタやってんだよ~、早くしろよ~っ!このジジイヨーっ!」

横断歩道を渡っていて、若者に車の窓から大声で怒鳴られたご老人。

杖を突きながら、「どっこいしょっ」と歩道に上がってきて、

苦笑いを浮かべてポツリと一言。

『あんな若造に怒鳴られるなんて・・・長生きしすぎたかなぁ?!』

戦争を生き抜き、バブル時代の酷使に耐え、そして今・・・どうにか

自分の身を動かしているお年寄りに、こんな言葉を吐かせる時代。


この先の日本は、『年長者を敬うことを知らない』『長幼のマナーもへたくれもない』

本当に住みにくい国になってしまうような気がしてならない。


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コメント 8

たろちぅ

食事中のテレビは実家でよく怒られてました。が。
今は実家の食卓の上にもテレビがー。
by たろちぅ (2008-04-19 21:53) 

たいせい

 「人間しぐさ」。
 自分自身には必ずしも身についていないのを反省して、せめて自分の子供にはとは思う物の、やはり我が身を直すのが先なのでしょうね...。
by たいせい (2008-04-21 17:44) 

アサギいろ

少子高齢化の時代。
ますます子供は大切に(わがままに)され、
お年寄りは邪見(邪魔者)されるのかなあ・・・・

by アサギいろ (2008-04-21 21:43) 

アキラ

たろちぅ さん

食事中はTVを付けない・・・これは「団欒の時」だからということのほかに、「食事を作ってくれた人へのナマー」だと思います。
TVに夢中になっていると、何を食べたんだか?どんな味だったのか?判りませんからね~。
by アキラ (2008-04-23 11:22) 

アキラ

たいせい さん

我が家は「人間しぐさ」が出来ている方だと思っています。
日々の挨拶の他、何かをやってもらったら、必ず「有り難う」も言います。
娘が小学校高学年ぐらいの時、学校の発表で「お父さんは、すぐに有り難うって言ってくれて、とてもうれしい!」と言っていたことを思い出します。

by アキラ (2008-04-23 11:25) 

アキラ

アサギいろ さん

仰るとおりで、コマッシャクレた子供が増えたのは困りものです。
TV等では、そんな場面を面白がって使いますが、問題ですね。
私も先日「前期高齢者」の仲間入りを果たしましたが、「ジジイ!」なんて言われたくはありませんものね~。
by アキラ (2008-04-23 11:28) 

浜松自宅カフェ

考えさせられるお話でした。
嫁さんが教えてくれたのですが「夫が子供を叱らない!」と嘆くお母さんが
多いのだそうです。
叱る(怒る)のは母親ばかりなんだとか?
何故なんでしょうかね?
嫌われたくないから?
僕はガンガン叱りますが、「ありがとう」も言うし褒めちぎるからか、
今のところ「お父さん嫌い!」と言うことはなさそうです(笑)
by 浜松自宅カフェ (2008-04-24 18:40) 

toyo

全面的に賛同します。
もういうことないくらい大賛同です。
by toyo (2008-04-24 21:26) 

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