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木の話 第一話『無垢材』 [湘南の家づくり]

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一口に『木造住宅』と言っても、家の骨組み材(構造材)に違いがあるのをご存じですか?

最近の木造住宅の骨組み(構造材)は、「曲がらない」「反らない」「割れない」「均一性が保てる」
という『集成材』が主流です。

『集成材』とは1cm~3cm程度に薄く挽いた板の繊維方向をそろえて、接着剤で貼り合わせた木材
のことを言います。

節や年輪の影響を受けにくく、均一な性能が得やすいことが特徴です。
電気などを使って、強制的に乾燥させた材が多く使われており、水を吸いやすいといった特徴もあります。
構造材の柱などに使われている集成材には柔らかい「スプルース」などの白い木が多いのです。
そのため、一端水分を吸って「腐れ」が生じたり、シロアリに喰われる「蟻害」に会うと、
非常にもろい面もあります。
化学物質の接着剤を使用しており燃えやすく、薄板の張り合わせであることから調湿性に劣ることも
その特徴の一つです。
私は湿気が多い我が国では、「使うこと自体が問題」だと思っています。


私が勧める無垢の木(無垢とは混ざり気がないという意味で、1本の木を製材した材木のことをいいます)は、
木材本来の質感、風合いという魅力に加えて、化学物質を含まない自然素材であるという魅力があります。

しかも、調湿作用があり、湿気の多い日は水分を吸収し、乾燥している日は水分を放出して
湿度を一定に保ってくれる性質があります。
建坪30坪程度の木造住宅の構造材を無垢材にするだけで、ドラム缶3本分以上の水分を吸ったり吐いたり
出来る力があります。

無垢材は切られて製材されても生きており、製材から時間が経つほど木質内部のセルロースが結晶化して、
材木としての強度を増して行く・・・という余り知られていない驚異の性質もあります。
家を建てて80年も経った構造材が音を立てて割れることがありますが、これも「まだ生きている」証拠なのです。


日本は3日に1日は雨が降り、梅雨や春秋の長雨もあって湿気が多い国です。
昔の家は腐らないのに、現在の家はすぐに腐ってしまう・・・その理由の一つがここにあると思っています。
しかも、無垢材はグラスウールに勝るとも劣らない「断熱性能」も併せ持っているのです。

このように書くと「無垢材はいいことづくし」のようですが、欠点も無いわけではありません。
水分の吸放出に伴って、材が「縮む」「膨らむ」という性質があり、多少の「反り」や「割れ」も生じます。


木造住宅は『火に弱い』との理由から、敬遠する方がいます。
しかし、これは「木は燃える」ことから発想された「大いなる勘違い」なのです。

木材は確かに燃えますが、外側だけが炭化して内部まではなかなか燃えません。
これは「無垢の材についてのみ言えること」で、「集成材には当てはまりまりません」
集成材は薄い板と接着剤ですから、簡単に中まで燃え尽きてしまいます。


最近の家は木造でも外壁や屋根などに防火材が使用されており、
外からの「もらい火」には非常に強くなっています。

問題は内部から火事になる「自家出火」です。
『無垢の構造材で建てた木造住宅』は、芯まで燃えず、逃げ出すまでの時間を充分に稼いでくれます。
『集成材を家の構造材とした場合』に自家出火したら、家の倒壊を早めるような気がしてならないのです。

火に強いと思われている鉄骨は、燃えこそしないものの熱に弱く、
「すぐに曲がって」家が崩れ落ちる驚異に曝されることにもなりかねません。

日本の気候特性を考えた場合、どのように考えても『無垢材に勝る構造材は見あたらない』
のが実状です。



明日は『木の節』について書いてみましょう。


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たいせい

 久しぶりの建築シリーズ、楽しみにしています!
by たいせい (2009-08-18 23:42) 

アキラ

たいせいさん

シリーズと言うほど続ける積もりはありませんが、
皆さんが知らないと思われることを少しだけ
書いてみようと思っています。
by アキラ (2009-08-19 11:37) 

ラムねーさん

ご多忙で、楽しい幸せな夏をお過ごしですね?
お疲れはありませんか?

我が家はかなり頑張って贅沢をして、何箇所かで無垢材を使っています。

でも、家を建てる前にアキラさんとお会いしたかったなぁ、きっといろんなこと教えていただけたような気がします。
by ラムねーさん (2009-08-19 15:25) 

アキラ

お陰様で元気に過ごしております。
そう言ってくださると、また勇気が湧いてきます。
コレを書くにも、HMさんから何か言ってくるのではないか?
と思いながらの記事でした。
木造を標榜しているHMは、構造材は殆ど集成材を使っていますのでネ。
by アキラ (2009-08-20 14:30) 

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